特色
21世紀の女性学・ジェンダー研究
女性学・ジェンダー研究は、20世紀後半に成立した学問です。「男性」「女性」のあり方に疑問の声を発したフェミニズムに始まり、現代の女性学は、広く社会の中でのジェンダーのあり方や、そこから生じるさまざまな現象や問題を研究しています。伝統的な学問が対象としてきた研究領域から私たちの日常生活まで、ジェンダーを軸として学際的・比較文化的に捉え直すこと、これは国境を越えた新しい学問の潮流として、今後一層の発展が期待されます。
日本で最初の女性学専攻修士課程
JIUの女性学専攻は、日本で最初の女性学修士号の学位を授与する大学院として、1996年4月に開設されました。カリキュラムや教員構成は、日本の女性学を切り開く、国際的で充実した内容になっています。
国際的な学術発信能力を高める多彩なプログラム
基礎論や専門科目、語学科目、資料講読に加えて、シンポジウム、講演会、ワークショップ、インターンシップなど、国際的な学術発信能力を高める多彩なプログラムを展開しています。
社会人向けの修士課程1年プログラム
女性学専攻には、家庭生活や職業生活の中で疑問や問題意識を持ち、ジェンダーの視点から学び直そうと考える社会人が多数入学しています。本専攻では、社会人を対象に、仕事を続けながら1年で修士号が取得できる「社会人1年プログラム」も実施しています。
デュアル・ディグリー制度
女性学専攻では、海外の提携大学と「デュアル・ディグリー制度」を実施しています。修士論文が提携大学と城西国際大学の大学院で受理されれば、両大学院から修士号を授与されることになります。
カリキュラム
※必修科目
基礎論 |
女性学基礎論T(思想と理論) ※ 女性学基礎論U(ジェンダー批評) ※ 女性学基礎論V(研究/調査法) ※ 女性学概論I 女性学概論U |
ジェンダー文化論 |
女性学研究T(ジェンダーと文化A:フェミニスト理論と記録映画) 女性学研究U(ジェンダーと文化B:比較文学) 女性学研究V(ジェンダーと文化C:近代日本文学と女性の表現) 女性学研究W(ジェンダーと文化D:マイノリティ女性の文学) 女性学研究X(ジェンダーと文化E:文化批評) 女性学研究Y(ジェンダーと文化F:フェミニスト理論と建築) |
ジェンダー社会論 |
女性学研究Z(ジェンダーと社会A:家族と政策) 女性学研究[(ジェンダーと社会B:女性と労働) 女性学研究\(ジェンダーと社会C:開発と女性) 女性学研究](ジェンダーと社会D:女性と人口問題) 女性学研究]T(ジェンダーと社会E:ジェンダーと福祉) 女性学研究]U(ジェンダーと社会F:高齢社会と社会政策) |
ジェンダー論特別講義 |
女性学特別講義T(フェミニスト思想) 女性学特別講義U(ジェンダーと歴史@:アジア) 女性学特別講義V(ジェンダーと歴史A:日本) 女性学特別講義W(ジェンダーと歴史B:アメリカ) 女性学特別講義X(ジェンダーとメディア@) 女性学特別講義Y(ジェンダーとメディアA) 女性学特別講義Z(ジェンダーと国家) 女性学特別講義[(日本の女性政策) 女性学特別講義\(ジェンダーとポストコロニアリズム) 女性学特別講義](ジェンダーとカウンセリング) 女性学特別講義]T(パフォーマンスとジェンダー) |
資料講読 |
女性学英文資料講読T(文学) 女性学英文資料講読U(比較文化) 女性学英文資料講読V(英語文化記号論) 女性学英文資料講読W(女性文学) 女性学英文資料講読X(フェミニスト美術史と批評) 女性学日本文資料講読T(ジェンダーとアジア研究) 女性学日本文資料講読U(ジェンダーと表現) 女性学日本文資料講読V(ジェンダーと歴史) 女性学日本文資料講読W(ジェンダーと福祉) |
コミュニケーション |
英語コミュニケーションT(口頭発表法) 英語コミュニケーションU(論文作成法) 英語コミュニケーションV(討論法) 日本語コミュニケーションT(口頭発表法) 日本語コミュニケーションU(上級文章作成法) 日本語コミュニケーションV(討論法) |
研修・演習 |
女性学インターンシップ マルチメディア演習 |
演習 |
女性学演習T(文化A:フェミニズム批評) 女性学演習U(文化B:フェミニスト美術史と批評における論争) 女性学演習V(文化C:米文学) 女性学演習W(文化D:日本文学とジェンダー) 女性学演習X(社会A:家族と政策) 女性学演習Y(社会B:女性と労働) 女性学演習Z(社会C:開発と女性) 女性学演習[(社会D:女性と人口問題) 女性学演習\(社会E:ジェンダーと国家) |
演習 |
修了要件
32単位以上を修得し、かつ修士論文を提出し、審査に合格すること。
履修方法
- 「ジェンダー文化論」「ジェンダー社会論」より、8単位以上選択必修
- 「ジェンダー論特別講義」「資料講読」より6単位以上選択必修
- 「コミュニケーション」「研修・演習」より、4単位以上選択必修
- 「演習」より、2年間にわたり1科目6単位以上選択必修
- 他専攻の講義・演習科目または他研究科の講義科目より、2単位以上選択必修
修士課程修了までのプロセス(2年間で修了する場合)
1年次
- 入学時に専攻する分野と修士論文の指導教員を決めます。
→「ジェンダー文化論分野」(フェミニズム批評など)
→「ジェンダー社会論分野」(社会におけるジェンダー問題など) - 授業は基礎論6単位、女性学研究8単位、女性学特別講義6単位、コミュニケーション、研修・演習4単位、女性学演習6単位、他専攻科目2単位、計32単位以上履修します。
2年次
- 指導教員が開講する「女性学演習」で修士論文の指導を受けます。
- 修士論文の副査(2名)から修士論文の指導を受けます。
- 修士論文中間報告会でプレゼンテーションを行ないます。このときに、指導教員や他専攻教員、大学院生と発表テーマについて議論します。
- 修士論文を1月(9月入学生は8月)に提出します。主査と副査による論文審査と口述試験が行なわれます。
修士論文論題目例
- 作田久美子
- 「「母子家庭等就業・自立支援センター事業」の現状と課題」(2013)
- 糜莎
- 「中国農村部「留守婦女」の生活実態とそのジェンダー構造に関する研究:貴州省黔東南自治州黎平県茅貢郷地捫村のイ同寨を中心に」(2012)
- 川村麻衣子
- 「韓国アイドルファン女性の自己意識に関する研究:韓国におけるフィールドワークを手がかりに」(2011)
- 二階堂祐子
- 「出生前選別とリプロダクティブ・ライツ:1970年代の女性解放運動と障害者運動が示唆するもの」(2010)
- 吉村直子
- 「日本におけるオーガニック化粧品と女性」(2009)
- 須藤恭子
- 「現代歯科衛生士への道程」(2008)
- アンバー・ホン
- Commercial Beauty in Japan: Beauty Standard Influences, Negative Effects, and Potential Countermeasures (2007)
- 古賀晴美
- 「女性の健康をめぐる諸課題の検討 -千葉県の女性の健康支援(1965年度〜2006年度)を通して-」(2007)
- 田中都
- 「Brown Girl, Brownstones における母娘関係 -バルバドス系アメリカ移民家族の葛藤-」(2007)
- 平井万由
- 「戦後60年を迎えて:教育の今と可能性への考察 -コスタリカ共和国の平和の文化から学ぶ-」(2007)
- 曽根愛子
- 「長崎原爆を文学の視点から読む 〜林京子の世界〜」(2007)
- 柳美螺
- 「近・現代社会における‘巫女’の存在価値に関する考察-沖縄のユタと済州島の巫女を中心に-」(2006)
- 土屋郁子
- 「日本における社会的責任投資(SRI)の男女雇用均等に関する企業評価指標等について」(2006)
- 荒木とも子
- 「女性看護職の離職について -就労継続を阻む看護教育-」(2005)
- 宮崎紗英子
- 「浮遊」する身体・「沈黙する少女」のシニフィエ:尾崎翠にみる都市空間とモダニズム」(2005)
- 鈴木梓
- Microfinance as Means for Women's Empowerment: A Case Study from Nigeria (2005)
- 中野波津巳
- 「地域社会における女性のエンパワーメント 〜鶴ヶ島市ひまわり会の実践記録から〜」(2004)
- 高川浩子
- 「地方自治体における女性の人権擁護 〜北海道の暴力・虐待被害女性対策を例として」(2002)
- 和田水穂
- 「婚外子差別に関する言説と経験 -婚外子とシングルマザーの語りを通して-」(2002)
- ファン・ホウイ・トェ
- 「ベトナム社会の伝統と女性の労働」(2001)
- 江黒清美
- 「尾崎翠『第七官界彷徨』-幻想界にみるジェンダー・アイデンティティの彷徨-」(2001)
- 森谷美智子
- 「育児期の看護職女性のジェンダー意識」(2000)
- ノグチ・トゥリラット
- The Role of The Ministry of Education of Thailand in the Education of Thai Women for their Economic and Social Development (1998)
- 丁芸
- 「中国近代女性作家を解読する -張愛玲、蘇青について-」(1998)