メディア学部 メディア情報学科

ドキュメンタリープロジェクト

竹藤佳世

「ドキュメンタリープロジェクト」でのライブ映像撮影

今年の「ドキュメンタリープロジェクト」では、音楽ドキュメンタリーに欠かせない、ライブ映像の撮影に挑戦しました。ミュージックビデオ、プロモーションビデオといった、音楽に関する映像は、皆さんにとっては身近なものだと思いますが、その中でも、ライブハウスやコンサートホールで開催される本番のライブを撮影することは、まさに一度きりの、やり直しのできないドキュメント。例えリハーサルがあっても、必ずしもその通りにいく訳ではないですから、プロフェッショナルでもかなりの瞬発力が要求されます。また3時間という長時間のライブもあったりしますので、その間、注意力を持続する気力、体力も必要です。
 今回、学生スタッフには、時にはプロの助手として、時にはサブカメラを回しながら、観客やミュージシャン、ライブスタッフといった多くの人がいる場所で、状況に応じて撮影を進行させるということを学んでもらいました。その一部をリハーサル時の写真とともにご紹介したいと思います。

通常観客の見ることのないリハーサル。そのリハーサルから撮影の準備も始まっています。

ライブの曲順や進行を確認するだけでなく、ミュージシャンの立ち位置や、アクション、照明、舞台の演出といったものもチェックします。










本番で失敗がないように、カメラの動きもリハーサルでシュミレートします。撮りこぼしがないようにバッテリや記録メディアのチェンジのタイミングも考えます。









撮影スタッフが入れるのは、観客や出演者、舞台の照明・音響・進行の邪魔にならないところだけ。臨場感あふれる画を撮るためには、窮屈な思いをすることもしばしばです。






見ているお客さんの目線より高くならないように、なおかつスピーカーの合間をぬって・・・ベストポジションを探ります。











ライブ撮影では、さまざまなポジションから同時に複数のカメラを回します。出演者の数やポジション、動きに応じて、それぞれのカメラの狙いも変わります。









ポジション的に「三脚」を立てられない時は、より安定した映像を撮るために「一脚」も使います。

大きな会場だと、ドリー(移動車)やクレーンといった特機を使ったりして、より大がかりになっていったり、インカムなどでディレクターから指示がでたりしますが、それぞれの持ち場の判断が大きいことには変わりありません。



私は、元々ミュージシャンの方のドキュメンタリー映画を監督したことから、ライブ映像を手掛けるようになったのですが、例え同じ曲を、同じメンバーでやっても、その日のお客さんのリアクションで全然ライブの雰囲気が変わったり、いつも「今回はどうなるんだろう?」という緊張感があるところが面白いところです。また、演奏やMCだけでなく、楽屋といった舞台裏にカメラが入る場合もあります。出演者によっては、写してほしくない舞台裏に入っていくには、それなりの人間関係がないといけないですし、
そのミュージシャンのことを知る必要があります。そういう意味では、ライブ映像撮影は、新しい人、音楽、場との出会いをもたらしてくれる絶好の機会なのではないかと思います。皆さんも機会があったらチャレンジしてみて下さいね。

さて、今回のプロジェクトでてがけた映像は、来春、放送やリリースなどが予定されていますので、その時にはまたお知らせしたいと思います。どうぞお楽しみに!

                     メディア学部 映像芸術コース担当 准教授 竹藤佳世