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水田コレクションより

石川豊信(1753〜1806)「美人読書図」
 いしかわ とよのぶ 「びじんどくしょず」
 宝暦(1751〜64)頃 紙本着色


 
几帳(きちょう)の前で読書する遊女と、香を捧げ持つ禿(かむろ)が描かれる。流水に菊花紋の表着、柴垣に光琳梅が散らされる打掛や、禿の小袖が細微に描かれ、色彩のコントラストも鮮やかである。
石川豊信は、豊麗な顔立ちの美人を得意とし、紅摺絵期を代表とする絵師で、肉筆美人画もよくした。
本図は遠方を大きく描く逆遠近法で室内が描かれ、無背景が多い豊信の肉筆作品の中にあって、珍しい作例といえよう。