HOME>水田コレクションより > Vol.12 鳥居清倍

水田コレクションより

鳥居清倍(作画期1697〜1722)「太夫と二人の禿図」
 とりい きよます 「たゆうとふたりのかむろず」
 竪大々判丹絵 版元=伊賀屋


 
「浮世はなれ……」「時の花に嵐もなし」と書かれた文字散し紋の着物に、しごき帯を前結びにした遊女と、犬を抱き上げながら付き従う禿を描く。肥痩のある衣紋線と、ふくよかな頬、体をくねらせ向き合うように人物を配する構図は、鳥居派の典型。豪華に丹を使用し、当時の江戸庶民の気風に合った力強い作品である。
鳥居清倍は、その経歴については不明な点が多いが、鳥居清信の創始した役者絵を発展させ、美人画にも雄筆をふるった、応永後期〜成徳期(1704〜16)を代表する絵師。