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水田コレクションより

磯田湖龍斎(作画期1764〜89)「見立釣狐」
 いそだ こりゅうさい 「みたてつりぎつね」
 安永(1772〜81)初頃 柱絵判錦絵


 
衝立の陰から娘の様子を覗く若衆。若衆はひもを引くタイミングをうかがい、娘は、ひもの先に繋がれた罠に今にもかかりそうである。若衆の持つ編笠、罠、娘が担いでいる天秤という室内には不釣合いな道具が見られることから、本図は男女の恋の駆引きを、能狂言「釣狐」に見立てたものとわかる。ここでは若衆を「釣狐」の猟師に、娘を狐に見立てている。狐が、僧侶の白蔵主に化け、一度は猟師の罠を捨てさせることに成功するが、最終的には捕らえられてしまうという場面。
磯田湖龍斎は、春信没後、安永3年(1774)頃まで春信風美人画を描き、のち独自の画風を確立。柱絵を多く描いたことは特徴の一つである。