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水田コレクションより

葛飾北斎(1760〜1849)「化粧美人図」
 かつしか ほくさい 「けしょうびじんず」
 文化(1804〜18)頃 絹本着色  


 
筆と柄鏡を持ち、化粧する女性。鏡台も開かず肘をつき、胸をはだけ、足もあらわに片ひざたてる姿は、身支度をするというより、物思いに耽る風情である。襟や裾、帯の細かく縮れたような輪郭線は、文化(1804〜18)中期以降顕著になる北斎独特のもの。緋色の襦袢が白肌をひきたて、膝の袋や、衝立の葡萄など、細部も丁寧な仕上がりをみせる。
葛飾北斎は、はじめ版本の挿絵、狂歌絵本で活躍、天保前後より風景画を開拓、「冨嶽三十六景」ほか、揃物の長大作を発表。ほかに花鳥動植物や歴史説話を描くなど、長い作画期中、旺盛に作品を発表し続けた。
美人画では、本図のような瓜実顔で細目、なで肩、細身の美人像を創出、淡彩略筆の作品も多い。