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水田コレクションより

鳥居清重(作画期1716〜64 )「二代目市川団十郎の不破伴左衛門と大谷広次の山名入道」
 とりいきよしげ 「にだいめいちかわだんじゅうろうのふわばんざえもんとおおたにひろじのやまなにゅうどう」
 享保16年(1731)頃 細判漆絵  


 
白塗りで腕っぷしの強さを誇張するポーズの男が、赤面に鎌髭の、裃を片肌脱いで鎧を押さえる男とにらみ合う。白塗りの男は、衣装に団十郎の三升紋、「伴」の文字があることから、おそらく二代目市川団十郎の不破伴左衛門で、本図は享保16年春、中村座「傾城福引名古屋」に取材した作品だろう。伴左衛門の背後に瀬川菊之丞の定紋のある着物を着せられた釣鐘があり、これは同時に上演された、菊之丞の道成寺を暗示するかもしれない。
鳥居清重は、漆絵や紅摺絵の美人画・役者絵を描き、享保〜宝暦期(1716〜64)に活躍した。