文調が53図、春章が49図を描く。豪華な多色摺絵本で、俳諧連の後援をうけ、裕福な町人層に向けて刊行された。似顔絵表現の半身像である点は画期的で、扇面形の形式とともに、以後の役者絵に影響を与えた。初版刊行以降人気が高く、再版を重ね異本が多い。 当館蔵本は、改名した役者の名前などから、初版と同年の、明和7年11月顔見世興行直前の再版本と推定されている。 文調と春章は新様の役者似顔絵を打ち出して人気を得、明和後期から安永期(1770年代)に細判役者絵を多く制作。春章は天明期(1780年代)まで役者絵の大家として君臨し、勝川派を創始した。 |