HOME>水田コレクションより > Vol.17 一筆斎文調・勝川春章

水田コレクションより

一筆斎文調(作画期1755〜90)・勝川春章(1726〜92) 「絵本舞台扇」
 いっぴつさいぶんちょう・かつかわしゅんしょう 「えほんぶたいおうぎ」
 明和7年(1770) 彩色摺絵本 3冊のうち  


 
半丁毎に縦にした扇面形の枠に半身像を描き、枠外に役者名と俳名を記す形式の役者似顔絵本。
文調が53図、春章が49図を描く。豪華な多色摺絵本で、俳諧連の後援をうけ、裕福な町人層に向けて刊行された。似顔絵表現の半身像である点は画期的で、扇面形の形式とともに、以後の役者絵に影響を与えた。初版刊行以降人気が高く、再版を重ね異本が多い。
当館蔵本は、改名した役者の名前などから、初版と同年の、明和7年11月顔見世興行直前の再版本と推定されている。
文調と春章は新様の役者似顔絵を打ち出して人気を得、明和後期から安永期(1770年代)に細判役者絵を多く制作。春章は天明期(1780年代)まで役者絵の大家として君臨し、勝川派を創始した。