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水田コレクションより

宮川長春 「見立業平東下り図」
 みやがわ ちょうしゅん 「みたてなりひらあずまくだりず」

 
旅の途中、振り返ってしばし遠くの富士を眺める遊女と若衆、黒い駿馬を曳く従者。人物はすべて当世風ですが、在原業平が江戸へ下向する『伊勢物語』の一場面に取材しています。古典を当世風に「見立て」ることは浮世絵でよく使われる手法です。
作者の宮川長春は肉筆浮世絵(版画ではなく紙や絹に筆で描いた絵)の名手。本作品も着物の細部を丁寧に描きこんだ華やかな名品です。