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水田コレクションより

歌川豊国(1769〜1825 )「風流七小町略姿絵 あふむ小まち」
 うたがわとよくに  「ふうりゅうななこまちやつしすがたえ おうむこまち」
 寛政(1789〜1801)中期 大判錦絵 版元=和泉屋市兵衛  


 
蚊帳を吊り子を寝かしつける前のひととき、虫の音を聞きながら母と子が鸚鵡返しの言葉遊びをしている。小野小町にまつわる七つの説話「七小町」は、謡曲化されて普及し、浮世絵では7図の見立美人画シリーズの画題としてよく用いられる。鸚鵡小町は、年老いた小町に帝が憐れみの歌を呈したところ、一字のみ変えて即座に歌を返し、その才をみせたという話。
本作品では母子の遊びに見立てている。現在、同じシリーズでは「通小町」「雨乞小町」「(草子)洗小町」が知られるのみ。
初代歌川豊国は役者絵を得意とするほか、美人画、合巻挿絵など画域は広く、時好を敏感に捉えた作風で人気を集めた。国貞や国芳など多くの門人を輩出し、歌川派が幕末最大画派となる道筋を作った。