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水田コレクションより

月岡芳年(1839〜92)「風俗三十二相 にくらしさう 安政年間 名古屋嬢之風俗」
 つきおかよしとし 「ふうぞくさんじゅうにそう にくらしさう あんせいねんかん なごやじょうのふうぞく」
 明治21年(1888) 大判錦絵揃物  


 
寛政年間(1789〜1801)から明治に至る、三十二の様々な女性風俗を描いたシリーズのうちの一図。三十二相とは、仏が備える三十二の優れた姿形をいう。これを美人の容貌としぐさにおきかえ、「何々(した)そう」という気持などを表現している。綿密な筆致で表情の機微を写し、心理描写に巧みな本作は、歌川派を継承しつつも江戸風とは違う、明治期浮世絵美人画の傑作である。
月岡(大蘇)芳年は、歌川国芳門の逸材で、武者絵、稗史画、美人画のほか、錦絵新聞や挿絵も多く手がけた。菊池容斎の風を慕い、独自の静謐で雅致ある画風を確立。血みどろ絵や幽霊の絵などの怪奇趣味にも特色がある。