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水田コレクションより

菱川師宣 「見立石山寺紫式部図」
 ひしかわ もろのぶ 「みたていしやまでらむらさきしきぶず」

 
楼閣の窓辺に朱と黒の華やかな着物をまとう女性、周囲には淡い色彩の風景が叙情的に描かれる本図は、紫式部が石山寺で琵琶湖上の月を眺めながら『源氏物語』を執筆したという伝承を絵画化したもので、これは浮世絵に限らず人気のある画題であった。
ここでは当世風の結髪、着物姿の美人を紫式部に見立てている。房州保田出身の菱川師宣は「見返り美人」で知られ、元禄風俗を描いた創始者として17世紀に活躍した。