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水田コレクションより

葛飾北斎(1760〜1849) 「詩哥写真鏡 少年行」
 かつしか ほくさい 「しいかしゃしんきょう しょうねんこう」
 長大判錦絵 天保4,5年(1833,34)頃


 
「詩哥写真鏡」は、和漢の著名な詩歌に想を得た揃物で、10枚が知られる。「真を写」した鏡物(=歴史物語)とあるが、その実、北斎の卓越した想像力が創り出したファンタジーである。
本図は、唐の詩人、崔国輔(さいこくほ)の五言絶句、珊瑚の鞭を忘れ白馬が驕(おご)って進まないので柳の枝を鞭としたと詠う「少年行」に取材。竪長の大きな画面を巧みに使い、蛇行する道と水辺のぼかしで奥行きを出し、ベロ藍を多用した強い色調のダイナミックな作品である。
傑作「冨嶽三十六景」で知られる葛飾北斎は、自ら「画狂老人」と記し森羅万象を描き尽くした代表的浮世絵師。