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水田コレクションより

喜多川歌麿(1753〜1806)「針仕事」
 きたがわ うたまろ 「はりしごと」
 寛政6,7年(1794,95)頃 大判三枚続の左


 
針仕事をする女性に子供を加え、町人の日常生活を描いた三枚続の左図。
薄布の透ける表現、淡い色調に艶墨と紅の効果的な配色は見どころの一つ。黄潰しの背景に人物と小道具を巧みな構図で配し、一図だけでも充分見ごたえがある。
本図は、続物作品の構図・画風が、清長の影響を受けた群像表現から、個々の人物を大きく扱いその動きに主眼をおいた表現へと移行した時期の作品である。
喜多川歌麿は、背景を雲母摺した大首絵で時代の寵児となった、寛政期(1789〜1801)を代表する美人画家。女性のふとした表情やしぐさをとらえ、その心情まで鋭く描出する表現が人気を呼んだ。