城西国際大学
水田美術館

図書館棟
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水田コレクション 浮世絵は楽し4 版元と出版

会期=2004年4月13日[火]―5月1日[土]
開館時間=午前10時〜午後4時
内容=
浮世絵版画の最大の特徴は、大衆が気軽に購入できる量産された出版物である点です。それを企画から宣伝、販売まで一手にひきうけるのが版元です。一枚の浮世絵は、版元が企画を立て絵師に注文するところから始まり、決して絵師が単独で思うがままに描いたものではありません。その売行きは、大衆の好みや流行を先取りし、人気絵師を採用する版元の手腕にかかっています。喜多川歌麿や山東京伝、無名の東洲斎写楽を売り出した版元蔦屋重三郎は、その卓越した例といえるでしょう。

反面、出版活動の活発化とともに、幕府の取締りも強化され、寛政期には検閲制度も始まります。度重なる禁令や取締りの中でも、版元は、実名を禁じられれば判じ物仕立てで裏をかくような、様々な工夫をして大衆の興味を喚起し、出版は発展を続けました。

浮世絵版画をすみずみまで眺めると、絵師の落款だけでなく、屋号などを意匠化した“版元印”に気づくでしょう。このことは、版元の役割の重要性を物語っています。また、検閲の“改印”は、作品の刊行時期を知る情報源ともなるのです。

この度の展覧会は、これらの小さな情報に注目し、浮世絵版画を出版の歴史から捉えるものです。初期浮世絵時代から改印の現れる寛政以降、幕末、さらに新制度下の明治・大正までの作品を通し、出版をとりまく社会状況を読み取りながら、これまでとは違った視点で浮世絵をお楽しみください。
関連企画=
◎ 講演会
日時:5月1日[土] 午後1時30分〜3時
演題:「江戸時代の検閲制度」
講師:佐藤 悟(さとう さとる)氏
会場:図書館棟3階プレゼンテーションホール
*参加無料/要予約
講師プロフィール:
実践女子大学教授
1954年埼玉県生まれ
東京大学大学院人文科学研究科修了
主著など:「挿絵から見た近世小説史」『岩波講座 日本文学史 第10巻 十九世紀の文学』(1996年)

◎ ギャラリートーク(当館学芸員による展示解説)
日時:4月17日[土]、24日[土] 午後2時〜
図版=
喜多川歌麿《山東京伝遊》当館蔵