城西国際大学
水田美術館

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近代の能画家 月岡耕漁展

会期=2005年9月22日[木]―10月22日[土]
開館時間=午前10時〜午後4時
内容=
月岡耕漁(つきおか こうぎょ)(1869〜1927)は、能舞台を描くことを専門とした本邦初の能画家です。耕漁は、浮世絵師月岡芳年(つきおか よしとし)、日本画壇の人気作家、尾形月耕(おがた げっこう)や松本楓湖(まつもと ふうこ)に師事し、江戸時代以来の版元(はんもと)が中心となった木版画制作や、『風俗画報』などの挿絵を手がける一方で、画壇に属し、国内外の博覧会や展覧会に出品しました。

明治期、木版に代わる新しい印刷技術が興り、浮世絵の版元が姿を消していく中で、生き残りをはかる大黒屋松木平吉(だいこくや まつきへいきち)より出版された耕漁の能画シリーズは、100図または260図余りの大部なものでした。これは、歌舞伎役者絵ではなく能舞台に取材している点、水彩画のような表現、良質な和紙に金泥・雲母(きら)を多用した贅をつくした仕上がりである点で、異色の作品です。富裕層が新しい後援者となり、能楽復興が興った時代を背景に、木版技術の粋を尽くし、江戸趣味を脱した、時代に相応しい表現を目指した作品群といえるでしょう。しかし、同時代の創作版画や浮世絵の復刻、口絵については語られるものの、この種の木版画については、これまであまり注目されてきませんでした。

このたびの展覧会は、版元大黒屋から出された木版画シリーズ《能楽図絵》《能楽百番》を中心に、展覧会出品作の肉筆画も展示し、耕漁の画業を初めて紹介するものです。同じ謡曲に取材した作品を集め、または肉筆画や娘の能画家、月岡玉瀞(つきおか ぎょくせい)の作品と比較展示し、表現の工夫や特色をご覧いただきます。「能画」というジャンルと、高度な木版表現をお楽しみいただきながら、明治大正という新しい時代の一端を感じていただければ幸いです。
関連企画=
◎ 講演会
日時:10月15日[土] 午後1時30分〜3時
演題:「近代の能楽復興と池内信嘉」
講師:西野 春雄(にしの はるお)氏
会場:図書館棟3階プレゼンテーションホール
講師プロフィール:法政大学文学部教授 野上記念法政大学能楽研究所所長
1943年八戸市生まれ
法政大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学
著書・校注など:『21世紀COE国際日本学研究叢書1 外国人の能楽研究』『新日本古典文学大系57 謡曲百番』

◎ ギャラリートーク(当館学芸員による展示解説)
日時:10月1日[土]、8日[土] 午後2時〜
図版=背景《能楽図絵 鷲》部分、木版多色、明治33年(1900)
上《道成寺鱗落之図》絹本着色、道成寺所蔵
下《能楽百番道成寺前シテ 後シテ》木版多色、対象11〜14年(1922〜25)
展覧会図録=
詳しくは美術館刊行物をご覧ください。